詩人の指

君は詩を書くんだね

って詩の中で詩について述べる

自己言及的な?のはだるいんだけど

しょうがない まあ戻そう

 

エンジェルは喋れない

赤ん坊だから

きれぎれの音の切り貼りで

すべてを伝えてくれる

 

女神は微笑むだけ

口を開けた女神を見たことがある?

画像検索するとマジでいない

あくびしたり感じたり

するはずなんだけどカメラの前じゃ

 

詩人の女は詩女って言われないな

なんで?

女流詩人くらいのことはあるか

別にあったっていいと思うよ

詩女 僕は好きだけど

 

まあ息を吐いたらいつでも白くなるような

そういうふうに書けるのが詩人でね

何も言わないで

エンジェルにも女神にもなれるわけ

君のみじかい指だけで

青春がまた今日も

おはようトゥデイ

青春がエブリバディ

風吹けばいつだって18歳

川原はすべて草原で

石は絶対あの山から来た

 

一人きりでバスに乗る

左右にカタカタ傾いて

田舎道走ってく

地平線に沈んでく

 

青春はいちどだけ

はじめてのキミと

それを何度もくりかえす

 

 

 

 

 

 

上昇するには梯子がいるね

持ちきれない骨董品の

古い町

 

あふれて落ちる

もう僕はここにいない

 

すんとした音

なにもない耳に

 

大袈裟なやつだ

指のこと

見つめてごらん

いくらでも増えてゆくだろう

 

吐息の色がここに見えるよ

煙のように渦巻いて

 

夜が止まる

 

稚拙な匂い

思春期みたいにね

踊るようにセックスするよね

 

華々しいお言葉の数々

そりゃどうもあいらしい

とびぬけた美の溌剌な出来心

見かけたら摘むね

そうやって背中から目を閉じるのさ

雪に炎

夢を遠く知る

かたちが僕になる

雪が降って粥食って

裸の君がそこに寝ている

 

お酒を飲んで吐く息が

すべて透明に変えてゆく

舌に口内に

はなすじに麻痺をくれ

 

愛もない意味もない

凍えがあるだけ

それを溶かす炎は僕の

心の中で誰にも見せない

あなたにもね

夢の扉

終わらない美

触れても触れても溢れ出て来る

ような気がしてる

冷たい肌少しずつぬるまって

また冷えてやがて

 

大いなる予感

溶け合うような離れるような

夢の世界に落ちてゆく

 

世界は閉じる

0ミリまで極限へ

本当はわしらの匙加減

でも確かにみんながそう思う

 

年が明ける

瞬き一つ

隣に誰もいなくなる

 

黒く染まる草原

月の照らす兎の眼

風を最初に筆で描いたのは

こんな日だったに違いない

 

君の瞳と僕の瞳に

窓の光が宿る時

二つの家は靡きあう

心の扉が同時に開く

絵にした間合い

さよならボーイ

集中包囲

喜びと啓示

ゆらりアーカイブ

 

歩きつける配牌

酔いがちの春

この年末に

 

さよならボーイ

感覚の麻痺

品川駅から新幹線で

 

飽きないよ一生

階段は続く

腹這いで合宿

ナッツバッグにリスがまつわる

 

通、この町

新しい

光より明るい美

許すより大きく

 

育つなり

さよならのボーイ

永遠を抜け出して

順調の花と

鳥のさえずり

 

 

 

書店

薄暗く湿気た

汚らしい書店よ

意味のくせ偉そうに

高く澄まして幸福そうに

小売風情が

時に不幸気取り

都合で読み換える

他人の生首を整然と並べ

品評づらして楽しいか?

 

僕らの肩にかかっています

あなたの金にかかっていますと

「文化」人質にペテン師が

死化粧ばかり上手くなってよ

生きた奴隷を鬻いでみろよ

ぶっきらぼうに突っ立って

わたしが美と智の門番ですと

顎ぶら下げて

それは飾りか?

 

僕はあんたらが本当に嫌いだ

珈琲や酒に書籍を漬けた

でっかい甕をテーブルに置いて

この館の主人です!なぞ

両手広げて

恥ずかしくないか?

 

煤けた香りや

埃の色も

シーシャみたいに吸い込んで

うっとりしてる髪の女

ひげの男

 

にっこり笑え

外周走って来い

レジスター前でメガネして

無愛想に本を渡すな

ありがとうとか無理して言うな

お前の店でもなんでもないんだ!

 

 

深夜のみ

口頭で言う

デスマジック怯え

ゆーとりまんでら問診途中

ええがやな

最近鳥には言っとるけれど

仮にもポイズン気取ってきまして

損切りなくても哀願よゆー

マリちゃん待って

しがらみの船に

小一時間の待ってる待って

もうすぐ消える

すっと新しく大好きな君が

ふわっと生まれて愛してて

小さくなって

落ち着いた時に

死のうかなと

呟く

終わる

さようなら

 

渦巻き

ううん雲の舞う

美と美の儀式

遠く遠く指をのばして

量子反転

くるりと笑って

 

僕が上むけば

君は下をむく

僕が右見れば

君は左を見るように

 

髪の流れ

見えない香り

口の中の飴

癒えない音に

手のひらで耳を転がすと

 

首が大空をネメ回す

世が渦巻いて決着がつく

舌先から立ちのぼる湯気

消えないように煙を混ぜる

 

歩き続ける 前を見て 手だけこちらに

涙は走って去ってゆく

トントンバウンドしながらね

ああさようなら雲の行方は

来し方行く末 聖なる僕ら

自然を愛する不届き者は

概念の限界

人間で風穴を開けろ

正しさの不信感

手のひらで拭い去り

 

嫌われた人に会いにゆく

傷ついた心をもって

泣きそうで痛ましく

恥ずかしいまま胸張って

 

あんたはあんたの好みを棒にして持って

貫いた抜け殻を憎しみにして

また強くなるんだな

優しさを捨ててな

 

僕の偽善とあなたの独善

どっちもどっちで結局のとこ

悲しみあってるだけなんだから

せいぜい仲良くしませんか

 

愛するものと信じるものの

その外側に自然があると

自然を愛する不届き者は

案外気づかぬものなのです

流れるだけ

花は届く

飛びもせず

記憶されたところへ

 

指先はいっさい触れなくとも

火打ち石のような

頬と頬

時計の音のように

 

木登りをしましょうと

呼びかける

 

汗をふくタオルを持っていきましょう

 

虫の音を聞き分ける

練習をしよう

目を閉じて

 

君の声

いまはどこか山の奥

海の中

 

遠く届かない知らないところで

 

もう一回もう一回

さみしいのだろうから

もう一回

あの一瞬を思い描いて

小さなオレンジの火花を浮かべて

 

胸のあいだに焼きつけて

鼻の奥がなんだか熱いような気持ちになってみて

したくちびるがしびれるような感じがするだろう

 

涙はなんの証拠にもならない

 

もう少し生きて

一緒にいるために

ワインの血割り

不安ピーク

ドーザーで越え

悟りに澄ます

これを保つため

酔い続け

酒 クスリ 虚栄

肌に大人が結露する

アーマー並みに固着する

 

心の内に仏を眺め

手のひらを胸の前に合わす

光り輝くまで

待つ 待つ 待つ

待って 待って 待って

そのまま氷漬け

浮いて飛ぶ

抉り出された瞳とともに

 

美と愛のグラス

割れて砕けてとけあって

血も涙も見分けつかぬ

干からびて固くなってゆくまで

痛みに神経集中さしてる

 

1000年前なら歩いていける

誰かが歩いてきた道だから

1000年前ならいつまでも待つ

確かにあったことだから

 

神レベル 組み合わせ

草木 亀の首 海

 

燃えて消え

煙がまっすぐ水平線へ

越えてゆく絶対

そのために泳ぎ鍛えとく

何メートルだか

瞬間速度が合致したなら

うなずいて誰か魔法する

きっと認めてくれるはず

 

味気ない鮭食って

覇気のない鯖食って

匂いのしないニシンを食って

コーラ飲んでる人の隣で

さみしさとやさしさ

歩くだけでこぼれるので拾い回る可哀想な奴

拾い回って歩いてはまたこぼれている

そのさみしさを見て何も言えなくなる優しい人たち

さみしさとやさしさが下手すぎる

 

いたたまれなくなって僕

カロリーメイト吸いに出る

可哀想な奴 可哀想な奴

 

誰でもいいから話したいんだ

さみしすぎる奴ら

足りない人たちは結局のところ足りないんで

どこへ行ってもいじめられるから

優しさを搾取するしかないんだろうな