流れるだけ

花は届く

飛びもせず

記憶されたところへ

 

指先はいっさい触れなくとも

火打ち石のような

頬と頬

時計の音のように

 

木登りをしましょうと

呼びかける

 

汗をふくタオルを持っていきましょう

 

虫の音を聞き分ける

練習をしよう

目を閉じて

 

君の声

いまはどこか山の奥

海の中

 

遠く届かない知らないところで

 

もう一回もう一回

さみしいのだろうから

もう一回

あの一瞬を思い描いて

小さなオレンジの火花を浮かべて

 

胸のあいだに焼きつけて

鼻の奥がなんだか熱いような気持ちになってみて

したくちびるがしびれるような感じがするだろう

 

涙はなんの証拠にもならない

 

もう少し生きて

一緒にいるために