幽霊船

幽霊船に乗るよ

ぼろぼろの旗に並んで

優先的に乗るよ

ずっとばかにされていたけれど

今日からは立場が逆だ

幽霊船に乗るよ

幽霊船は

よろよろと呻くように

関節を鳴らしながら

地下倉庫でがいこつが

からんからん

幽霊船は

どろどろのへどろを燃料に

きらめく海を汚していく

僕はぼろぼろの旗ふって

ケラケラと笑いながら

舳先に立って言うよ

今日からは立場が逆だ

幽霊船は行くよ

一度も振り返らずに

きみの夢を通り過ぎ

悪い考えをおいていくよ

起きて青ざめるがいい

そしてまた近くの誰かを殴れ

幽霊船は行くよ

声をかけたって

止まりはしないよ

バスじゃないんだからね

僕は運転士でもない

船長はにぶい音ではじめ揺られ

最近じゃ

からんからん

笑っている声が聞こえるよ

僕の足の皮はそろそろ

舳先にへばりついて

ねばねばしている

きみの毎朝食べている納豆のようだよ

さあ起きるんだ

幽霊船に乗るよ