社会不適合

もうわたくしが誰かなど関係ない

鼻がききすぎて犬なのです

足の裏で踏んでたまえ

雀と蝉の合奏を聴け

 

浅暗い夏

早朝と夕暮れが折り畳まれて

わたしはいま待っているんだか

見届けているんだか

 

長く長くもう遠くから

たなびいてくる排気ガス

尻尾のこげた臭いからし

畜生どもの選別が始まる

 

通り過ぎる従順さ

足を止める鋭敏さ

固まったビルを溶かす闇

合図だろう鳩の羽ばたき

 

トンボとコウモリがタッチして

大きな柳を包帯で巻く

蛙と鯉の合奏に舞う

人が消えたら川に入ろう

 

このまま誰からも求められずに

愛されないで死んでゆくのだ

電線にカラスでも止まっていてもらえたら

浮浪者の一人でも通りかかってもらえたら

 

ジョギングする猫を見たことがあるか

滑稽なものだ

没入できないわたくしはやはり

このままひずみに消えるしかない

こどもの船

ぼくね今もう子どもなの

だからやめてね

おねだりしないで

また逢いたいなら

求めないでね

どれだけ僕が天使でも

どれだけ僕が無敵そうでも

 

大人だったのはむかしの話

もう勘違いしないでね

またああやって遊びたいなら

子どもになってまたきてね

本当のほうが気持ちいいから

どれだけ僕が美しくても

どれだけ僕が理性的でも

 

二度と降りれない

船に乗ったの

手を振っただけ

それでおしまい

 

むかえにきてね

裸のうちに

次にあなたが着飾るときは

二度と乗れない船が出ている

夏のしじまに

嘘のように人のいない真夜中

雨上がりに病み上がり

まだ病人の匂いがする

鼻がいかれて

 

犬が駆け寄ってきた

死にかけた人間は野蛮な味がする

猫のように無表情

みんなでストンと底に座った

 

蝉は黙る

涼しさと水気に

木々は萌える

今夜だけ空広く

 

雲間に光る星が風に流されて消えてゆく

木星土星を往復し

無責任に観測点をずらし続ける

 

この夜は誰のものだ

近鉄の帽子かぶった自転車のじじい

お前にやるよ

神様はそんなところ

あとはこっちでやればいい

 

力なく振り出す足の先が気まぐれに石を飛び

浅瀬に入り

新たなる音を付け加えてゆく

完璧だった人生を狂わせる重篤な病

明日のすべては今日次第

今日のすべては夜次第

質の高い音光について

花火より月

星の前の月

他人と花と友達と

 

ああ矢田川の花火大会

完璧を目指して挫折した

 

伝統と信頼の隅田川花火大会

完璧を背負って今年も輝く

反吐が出る、すぐ帰った

 

よくできたバンドマンの長文

質の高い青春

磨きに磨いた青臭さ

クォリティがくだらなさを正当化する

 

花火見る人々の背を月が照らす

花火背に歩く僕の目に月が映る

やめてくれ、恥ずかしい

こんなふうにまた会いたくなんてなかったよ

 

政治。

戦争?

俺たち!

花火

 

やめてくれ、反吐が出る

くだらない感想を美で固めるな

人が死んでも別にいいだろ

お散歩遠く

お散歩遠くへあてもなく

なかよしお月様

指先すべてが美しい

目に見えぬものたちも


あっちかな

こっちかなって

どうにかなってしまいそうです


お散歩遠くに手を振って

だれか笑ったら

耳を澄ましていいんだね

ひとりでもいいんだね

 

聞いたかな ゆったかな

豊かな悲しさの日々


お散歩遠くのガンダーラ

みんなばらばら

いろいろあるから目を閉じて

今日 愛する人たちと


さらば 友よ


散ったから あったから

宝のありかにも似た


あっちかな

こっちかなって

どうにかなってしまった


あっちかな

こっちかなって

どうにかなってしまったから

ラブガン

世界中

没交渉

壁の入り方を

なるべくしてなる

花の音

 

かまいませんとも

横の深さを測りましょう

人も魚も

 

人のものは欲しい

それだけだろうな

さわやかな形

 

悩むなら着慣れ

空からは狩られ

頭から消えてゆく

わたしの殻ら

わたしらの稲ら

 

自滅の冠

鬼畜の星に

かたまる歩道

未来は桟橋

音楽

音楽って嫌いなんだよな

言い訳付きの麻薬

正当化した堕落

何も考えたくない奴がたった一言

「音楽」とだけ言えばすべて

そんな気になる手抜きの概念

個別に見ろ

それは本当に音楽か?

ジャンルに乗るな

リズムに乗れよ

ただ純粋に好きなものを愛せばいい

のに

何が不安だ!

 

怖いだけだろう

ギターとベースとドラムって

決まりきった編成の何が楽しい

お前が最高と思うように組み合わせろ

つか楽器じゃなくてもいいんだよ

音は一つの要素でしかない

イチからお前が考えろ

何が素晴らしいかを

何が美しいかを

乗っかってんじゃねーよお前の人生だろ

死ねよ早く

遠くまでゆけ

みんなのことが嫌いで嫌いで

もうだめで

地球のことが

時間のことが

よくわからない空想のことや

宇宙みたいな幽霊みたいな

遠くのものがあまりにも好き

 

人間のことが辛くて辛くて

死にたくて

意味わかんないし

歩けば困るし

楽しくもない

ただ美しさで生きている

ただ美しさのみ輝いている

湖とか桟橋とか

羽ばたきとか

そういうの

 

手をつないでゆこう

見えるまで

くだんない肉体に吐き気がするよ

中身なんてすべて追い出して

真空の世界で

寝そべって

からっぽで

内側を剥がして

煙がでてくる

 

出発するか

ここにいすぎた

人はとどまると煮えすぎる

その熱い棒を押し付けてくる

腰から足が生えているような生物は弱い

裸足が耐えきれないのは重いからでしかない

 

みんなのことが嫌いです

殺意八幕

好きの自由

嫌いの自由

好きにさせろよ

お前が嫌いだ

がんばってる人も

いたいけな人も

偉大な人も

輝く女も

嫌いなもんは嫌いなんだから

仕方ないだろ

殺していいか?

 

抱くだけ抱いてバキバキに砕く

きみの身体は甘くて硬い

軽やかな口あたり

鮮やかな手ざわり

狂った嬌声

最高な感度

苦しんで死ねよな

忘れてないよ

こっちは

 

雨が降ると泥だまりが浮く

すすって飲んで胃に入れて泣く

やや上を向く

破滅の角度

不可能耳

言語が無理

言語が無理

脳が疲れて

言語が無理

かさばらない

はばたかない

へださてない

したがらない

赤いといいなと

黒いといいなと

青いといいなと

白いといいなと

あまり思わなくて済みたく

陽気も何も

文字が怖い

耳から入る文字が怖い

全部バラバラにしてくだはい

挟まるまで粉々になれ

ファザコン

4時開店の5分前

店の扉は開いている

入っていいなんて言ってない

当たり前の顔

 

ちょっと困るな

カレンダーも昨日のままで

 

そう彼女には罪はない

彼も悪いとは思えない

けど食い違った

戦争になるぜ


ファザコンぶち殺す

何よりも女の敵

ファザコンぶち殺す

男の敵さね

 

頭がちょっとおかしい

そのズレは妖精

ふたりには罪はない

ただ殺し合う

殺し合うのは楽しいみたいだ

 

ファザコン

男であれ女であれ

権威に甘える無能ども

隙間に甘える卑劣な手

若い詐欺師

若くなくなる保険を持って

若さ謳歌する卑怯者

いつか落ち着く手筈でもって

破綻匂わす小狡い詐欺師

 

憧れの無頼

青春というエネルギー

手は届くけれど戻って来れない

ゆえにしっかり握っているね

いつもそうしていいとこ取りで

 

苦悩もすべて過ぎ去ることは知っている

そのことを嘆いてみせる

その前に死ぬと嘘をつく

死ねないことは知っている

死ねたらいいなと願ってはいる

知らないうちに痛みなく

終わってくれたら正直者だ

そういう一握りの奇跡にわたしはなりたい

この想いだけは本当だから

どうか許してくださいと

何十年も生きさらばえる

知ってるくせに

知ってるくせにな

 

普通ということを正確に知るのが恐ろしいんだろう

自分の位置は知りたくなかろう

だから不誠実に狂おしいふりをする

0か100かに限定するのは

目を背けたいだけだから

殺人の寸前

グラスの水滴が

指について

眉を撫でたら

つめたい

 

熱き談義スポーツの風

僕はだるくて殺したい

みんな同じティーシャツ

 

大声に包まれて年だけ進む店主

白髪が増えたわね

 

愚か者らと賢人たる僕が

横木に肘ついてこれから何起こる

車が走り月が傾く

佐々木様が大魔神だった頃の話も

オオタヒカルの悪口もすべて