さくら道

涙で空を飛びたいものね

ゆっくりと花が咲いていく

緑の上を散歩する

少しだけ浮かびながら

憂鬱なスカートに排気ガスまとわりつく

足首まで血が落ちる

青ざめた空を見あげてみると

足許へ空が逃げていく

信号待ち

見たくもないような

風景がよどんでる

無意味という意味を憎み

意味という無意味を愛す

そうやってあなたは言いました

私はそのことを忘れません

勇気があればといつも思う

ほんのりと色づいた頬にため息をためて

さくらの吐息にできたらね

そのままさくらが浮かべばね

花壇の道を歩いていく

少年と母にすれ違う

風船が地面に落ちて

ごろりと転がる

そのまま引きずって歩いていく

花々しい道

赤い絨毯が敷かれていくように

手を繋いで二人はいまゴールへと向かっている

祝福の光を浴びながら

重力から赦されて

ずるずると進む

私は歩く

勇気があればといつも思う

意味という無意味を憎み

無意味という意味を愛す

あなたはそうとも言いました

私はそのことを忘れたい

忘れたい

いつまでもいつまでも

忘れていたいのです