不気味な親子

不気味な親子

安いコーヒー

 

スマホでゲームしながらタバコ吸う

ちりちり髪でアンバランスな洒落た服

たった一人で空気を汚す

若い男が中央の席に座っている

 

一つもいいところがない

強いて言うなら安いだけ

近所のじいさんたちがずっと話している

サラリーマンが暇を潰している

本当に暇そうなのだ

 

不気味な親子はいったい

何の目的でここを経営してるのか

娘や息子を

受け入れてくれるような社会が

ないということか

 

180円のコーヒーをすする

うまくもないエスプレッソマシン

無論まずくもない

ラジオの音がデカすぎる

AMラジオ

アンテナはって

 

汚い空気と壁と色合い

暇そうなサラリーマンが

電子タバコをやりだした

 

いったいなんだって僕はここにいる

なぜ生きている

 

昔々なら山奥で

包丁研いでる不気味な親子

都会に逃げ込んだファンタジー

誰の居場所もここにはない

 

誰の居場所でもないここで

悲しくもないのに

悲しい気がして

泣いていた

さよなら

みんなを

思い出してた

 

いいところなど一つもない

強いて言うなら安いだけ

気に入った

誰でもない時また来よう