君が好きだと言ったこの映画はとてもくだらない
僕が好きだと言ったこの音楽を君は
趣味の悪いワンピースを見るように通り過ぎていった
君が嫌いだと言ったこの音楽は
確かにひどく俗悪なもので
僕はその往復に何度も何度も轢き裂かれ
もうぐちゃぐちゃになってしまった
二人の世界は合成獣のようにごてごてと
醜く秩序なく組み立てられていく
子どものころに泥遊びで作った城のような
無邪気な完成は二度と僕らの前に現れない
それで僕らができるのは
身体を合わせることだけになってしまったのだ
「子どもは知らなくていいの」
そりゃそうだ
彼らには知る必要がないのだから
プラスとマイナスがぶつかってゼロになるような
合理的な完成だけがいま僕に手に入るすべてのものだ
そうでないあらゆる作業は目の前で
恐ろしい怪物をつくりだし
やがて全てを破壊していくらしいのだ