ライター切れていた
何度も何度も
老人が
マッチをくれとママに言う
震えた手つきで確実に
すべて憶えている
吸う
セブンスター
ライター切れていた
何度も何度も
老人が
マッチをくれとママに言う
震えた手つきで確実に
すべて憶えている
吸う
セブンスター
ずたぼろに崩壊しても
美は残り
なんと残酷なことか
愛に敗れても
死より濃くても
美だけは残り
酒に溺れて
人に殴られ
泥にまみれても
音楽って嫌いなんだよな
言い訳付きの麻薬
正当化した堕落
何も考えたくない奴がたった一言
「音楽」とだけ言えばすべて
そんな気になる手抜きの概念
個別に見ろ
それは本当に音楽か?
ジャンルに乗るな
リズムに乗れよ
ただ純粋に好きなものを愛せばいい
のに
何が不安だ!
怖いだけだろう
ギターとベースとドラムって
決まりきった編成の何が楽しい
お前が最高と思うように組み合わせろ
つか楽器じゃなくてもいいんだよ
音は一つの要素でしかない
イチからお前が考えろ
何が素晴らしいかを
何が美しいかを
乗っかってんじゃねーよお前の人生だろ
死ねよ早く
みんなのことが嫌いで嫌いで
もうだめで
地球のことが
時間のことが
よくわからない空想のことや
宇宙みたいな幽霊みたいな
遠くのものがあまりにも好き
人間のことが辛くて辛くて
死にたくて
意味わかんないし
歩けば困るし
楽しくもない
ただ美しさで生きている
ただ美しさのみ輝いている
湖とか桟橋とか
羽ばたきとか
そういうの
手をつないでゆこう
見えるまで
くだんない肉体に吐き気がするよ
中身なんてすべて追い出して
真空の世界で
寝そべって
からっぽで
内側を剥がして
煙がでてくる
出発するか
ここにいすぎた
人はとどまると煮えすぎる
その熱い棒を押し付けてくる
腰から足が生えているような生物は弱い
裸足が耐えきれないのは重いからでしかない
みんなのことが嫌いです
好きの自由
嫌いの自由
好きにさせろよ
お前が嫌いだ
がんばってる人も
いたいけな人も
偉大な人も
輝く女も
嫌いなもんは嫌いなんだから
仕方ないだろ
殺していいか?
抱くだけ抱いてバキバキに砕く
きみの身体は甘くて硬い
軽やかな口あたり
鮮やかな手ざわり
狂った嬌声
最高な感度
苦しんで死ねよな
忘れてないよ
こっちは
雨が降ると泥だまりが浮く
すすって飲んで胃に入れて泣く
やや上を向く
破滅の角度
言語が無理
言語が無理
脳が疲れて
言語が無理
かさばらない
はばたかない
へださてない
したがらない
赤いといいなと
黒いといいなと
青いといいなと
白いといいなと
あまり思わなくて済みたく
陽気も何も
文字が怖い
耳から入る文字が怖い
全部バラバラにしてくだはい
挟まるまで粉々になれ
若くなくなる保険を持って
若さ謳歌する卑怯者
いつか落ち着く手筈でもって
破綻匂わす小狡い詐欺師
憧れの無頼
青春というエネルギー
手は届くけれど戻って来れない
ゆえにしっかり握っているね
いつもそうしていいとこ取りで
苦悩もすべて過ぎ去ることは知っている
そのことを嘆いてみせる
その前に死ぬと嘘をつく
死ねないことは知っている
死ねたらいいなと願ってはいる
知らないうちに痛みなく
終わってくれたら正直者だ
そういう一握りの奇跡にわたしはなりたい
この想いだけは本当だから
どうか許してくださいと
何十年も生きさらばえる
知ってるくせに
知ってるくせにな
普通ということを正確に知るのが恐ろしいんだろう
自分の位置は知りたくなかろう
だから不誠実に狂おしいふりをする
0か100かに限定するのは
目を背けたいだけだから
みんなごめんね
もう死ぬね
誰でもいいから
許してください
みんなごめんね
みんなって誰?
わからないよね
みんなごめんね
名指しできなくて
言いたいことなら
山ほどあるけど
もう死ぬね
こんな言葉しか
伝わらないから
普通の人間をどう許していこうかね
うるせえ奴らを
脳足りんはしゃぎ屋の
無駄に歳とった半端者どもを
それにしても小さい女の子は
お母さんの手を
繋げくるくると回し
すべてを背景にしてしまう
愛について考えようという
呼びかけを
漫画本で跳ねのける
最後の人を僕は待っている
手のひらを必死に追いかける
その輝きを
先端 爪の先に
始まりも終わりも
愚かしい草花の陰
月も星もずっと隠れて
小さな声で僕らにおはようと
暗闇の中でささやきかける