泰葉

泰葉は気が狂い

あんなことを言い

小朝は冷静に

それを覆す

しかしキチガイと真顔の言い分は常に等価であり

真実はどこにもない

信じるという不透明な祈りの中に

そのかけらが眠っているのみだ

身体を重ねた男女は血液を交換し

脳みその味噌をこねまぜる

果たして二人の境界は

曖昧なヒステリックに溶け合って

僕の愛する人

誰とも一つにならないで

願わくば何も言わず

ただ黙々と抱き合おう

何とも混ざらず

何にも分けられず

白痴のようにお互いの

口をぱくぱくさせていよう

そして泰葉を疑って

小朝を哀れむような

良識を持ってテレビを見

泰葉の曲聴いて笑いたい