ヤニクラの心地良き吐き気

空腹にカレーでうがいした

よく晴れた冬の夜長に

長いコートが風を縫い

 

脳が細まり必要な美のみ見える

景色がすべて等間隔である

平たいものは意味を失う

異常な香りの記憶のせいで

空気の揺らぎが味覚に巣食う

 

胃が熱い

肺は無い

流れる吐息が頬を温め

そのまま道路を染めてゆく