ついてくる月

昨日の昼間の幼いふたり

昨日の夜中のみじかい世界

ぴったりとそよぎ

ひっそりとはまり

暁に鳥

 

ああ、香る

思ったら愛だ

森の中のクヌギの樹液

記憶が頬を焼きあげる

 

抱きしめて停まる

時。

光は永遠と

一瞬の比喩である

 

手と手は繋がる

それぞれの宇宙を歪めて均す

 

遠ざかるふたり

ついてくる月

消える火のように途切れた言葉を

できなかった口づけが証明する