言論の自由

言葉を奪われたら散文家は仕舞いだ

しかし詩人は生き延びる

意味を失ってもその色が 匂いが

目方が 光沢が 手触りが

あまさずに

まずは血となり 肉となり

そこから吐かれる呼気となり

必ず再びよみがえる

優しさも

あの日の光も

そのような祈りも

息づいて生きる

言論は固体

小説は液体

詩は気体なのだ

どこへでもすり抜けていく

天に昇り

書物にしみつき

君に届いて

また僕のところに戻ってくるだろう