湯河原ふたたび

湯河原ふたたびこの世に現れ

人の迷惑かえりみず

湯河原むじゃきに遊びに遊ぶ

土管振り回し山削る

指先からビームだし太陽やき尽くす

ドラえもん壊す

まだ魂のないドラミちゃん犯す

ドラム缶たべる

ドラゴンズ優勝させんがため走る走る

湯河原ぎりぎり神奈川県であるが

心の半分は静岡にあり

中日新聞がときおり風に乗ってやってくるのだ

湯河原も恋をする

好きな女の脳みそをすする

泣きながら叫びながら

湯河原は恋をする

愛しているのか

わからないけれど

湯河原は恋を知らない

地殻変動によって湯河原はオーストラリアに飛んでいった

ニュージーランドと仲良くなった

疑心暗鬼の湯河原に

笑顔が戻った

のもつかの間

カンガルーが大虐殺され

よそ者の湯河原は疑われた

あいつだ

あいつがやったんだ

おれは見たぜ

湯河原は泣いた

泣いて土管を振り回した

しかしアボリジニの偉い人が諌めた

やめよ

待て

落ち着くのじゃ

湯河原は泣いた

湯河原は島になることにした

それが誰にとっても幸せなことなのだ

僕は湯河原の背中にねっころがって

日本にいたときのことを思った

湯河原の背中はあったかかった

ぷしゅー

噴き出した温泉に乗って飛び上がり

トランポリンのように僕は跳ねまくった

湯河原はくじらのように温泉を吹き続けた

僕は湯河原をいとしく思うが

みんなはどう思ってるんだろうね

湯河原はみんなに手紙を書いた

長くて長くて読めない手紙を

あきびんに詰めて海に流した

波にゆれながら湯河原は

のんびりと島になっていた