吐き気がしたい

つかれえた

はきけがしたい

どくろになっても輝いていられりゃ

それでいいじゃん? 違う?

つやつやの死に顔で 煌いていられりゃ

それでいいんじゃん? ねぇ

だから十代のうちにそうなってしまおうかと思う

うん でも 僕はまだ元気なんだな

だけど十九歳っていう年齢は自分でも結構生きたなあって思わせるくらいのもの

ああ そんなにたくさん生きたのに 僕はこんなに元気だ

今までなにをしてきたんだろう

もっと疲れ得たこの人生

もっといやな気分にだってなれたはず

「疲れ得た。」

「吐き気がしたい。」

どうも死ねやしない

どうにもこうにも死ねやしない

もっと若いうちに死んでおいたら

モラトリアムが長すぎて

首をつっても畳に足がついてしまうくらい

そのくらい僕は背が伸びてしまった

そのくらい僕には時間とホコリが降り積もった

疲れ得た

吐き気がしたい

必死で口の中へ指を突っ込む

吐き気がしたい

吐き気がしたい

べつに吐瀉したいわけじゃなくて

吐露したいわけでもなくて

嘔吐にあこがれはない だけど

吐き気がしたい

吐き気が死体

ああ 僕がもっと疲れているっていう

これ以上疲れ得ないっていう証しを

吐き気がしたい

吐き気がしたい

別に死にたいわけでもないんだ

ただ なんか

吐き気がしたい

疲れえた?

「吐き気がしたい…。」