ただセックスがしたいという欲望の中で

めっちゃめちゃ愛してる

真夜中の万能感

死にそうに眠かった電話のあとで

十五分だけ気絶して

覚醒すれば思い出すのは

研ぎ澄まされた昨夜の会話

とにかく今すぐにセックスがしたいのだ

性行為は現代の凡人に残された最終の詩である

柔らかな腹の中へ五指をめり込ませ

ゆっくりと波打たせる

確かな手応えをそこに感じる

水銀の中に脳みそを泳がせているような

重たく冷たい鋭敏の快感へ

精神が開く

新しい発想が殻を割るように湧き出てくる

セックスをするしかない

愛してるという毎日の祈りを

身体の隅々へ散らさなければ

全身の不規則な動きへ還元しなければ

そうだ僕は君を愛してる

夜の中で熱はどんどん膨張していく

あまりにもたくさんのよい思いつきが

麻薬でもやっているみたいにあふれ出てくる

醜い両親の話をしたね

大人はいつでもずるくて汚いね

それでようやく君も最近

真実なるものの存在を知ったようだが

まだ夢を知らない

発狂が頭の蓋を震わせて

爆発寸前のまま

断然閉じこめられている

指で解放してあげよう

そこにしか夢はない

君の冷え切った身体を

万能の僕の熱が温めて起動させる

そのため真夜中に僕の指はうねり狂う

ただセックスがしたいという欲望の中で

幸せと夢という二つの巨大な結末が

意味不明さを増幅させながら

頭の真ん中で輝き出しそうだ