太陽の塔

煙と灰とに分かれてく

天国に昇る人と

地獄に堕ちる人のあるように

ただ見つめる

眺めている

寝ころびながら

窓を開け

喫煙を始める前から

禁煙しているようなものだ

煙草を初めて買ってみた

健康を損ないたくはない

ただ見ている

眺めている

呼吸を意識して

指が震える

突き刺した

煙突のように

煙と灰とに分かれてく

肉体が朽ち

霊魂が召されていくように

夜明けでも太陽でも

夕暮れでも月光でも

大荒れでも雨雲でも

不誠実でも独房でも

幸福でも

闇討ちでも

世渡りの上手な二本の指が

ありさえすれば

憂鬱を終わらせられる

幻想を夢見てられる

ゆらゆらと揺れる

煙の中で

さらさらと落ちる

灰皿の上

世界中

どこだって

吸いながら

火をつける

肺には入れずに

そのまま吐き出す

視界がぶれる

二本の煙草

四本の指

星空を見上げ

うつぶせになって

太陽の匂いを嗅いでみる