フライパンのように焼けこげたらしい新しい町で
生き生きと働いている人たち 流れる汗を拭きもせず
ひとつ前の戦争に勝利しようとしてる
すきまのない焼夷弾 逃げても無駄とわかってる
冷たい水があればみんな目を覚ますだろうか?
想い出を焚き木にして燃えさかる 新しい気持ち
何もかも忘れ去った人たち 流れる時の風を切り
ひとつ前の恋愛を実らせようとしてる
繰り返される幸福 意識がすっと遠ざかる
冷たい顔を見れば君は目を覚ますだろうか?
ひとつ前の人生をなぞり
恋をして
同じ神の声を何度でも聴こうとするけど
紫陽花の美しさとか
蟻の巣の深さとか
すべて異なる神の仕業なら?
永遠に同じ身の上に
積み重なっていく手触りは
猫の毛をなでるように
赤子の頬をなでるように
優しく生をなぞってくれる
輪郭線がつらなっていく
配線のようにつながっていく