入道雲に抱かれて眠っていた空が無数の目を開いてギラギラと僕を見つめる
いつまでも子どもじゃダメよと彼女は言うけど僕はこうして見えない光につんざかれているのが最も幸せなんだと思うよ
酒を飲んだり夜中に出歩いたりすることはいつしか日常になってしまったけど
空はいつでも非日常的な微笑みを投げてくるよね
それが痛い
だけどうれしいんだ
こまっしゃくれたガキの頃から変わらないのは親指と人差し指で作るピストルさ
精度は夜ごとに増していく
狙いを定めて星を撃ち落とす
僕は毎晩それを欠かさなかったから少しずつ空が暗くなっていったけど僕は泣かない
少しずつ空は真っ黒になっていったけど
くすんでいったけど
見えない光が僕のことを痛めつけなくなった時に僕は大人になれるのだろうと思うから
いつまでも僕は光の中で闘っているわけにはいかない
闇の中に足を踏み出して本当の悪党をこらしめてやらなくてはならない
撃ち落とすべき星の数は夜ごとに少なくなっていく
さそり座は僕の星座
あのアンタレスを倒したらゲームオーバーだ
もうすぐに秋がきてそれから冬がやってくる
額を汗が伝う
早く!早く!ひとつでも多くの星を!