お湯割りの縦長い陶器の
湯気の立ち方のように
不規則な愛のあり方が涙誘う
あまりにも濃いほとんどが焼酎の
お湯割りの刺激
人生はここで終わりを歩み出す
酒のために死ぬ覚悟を決める
毎日同じようで変わりゆく滑らかな時間
あまりにも愛おしい愛すべき肩並べ
静かに静かに沈んでゆく
アルコールの液晶の奥へ
そしてテレビという
液晶に我らの酔いが沁み込む
それぞれの趣味と私生活を覆い
死を待ちながら
ひたすらに口に運ぶ酒
湯気が立ち
消える
女のことを考える
かつて重なった数々の
その身体
その声の厚みばかり
唇の味とともにただ思い出し
目を閉じて
消える
唇を噛み浮かび上がるは
今の僕の目の中の涙
そのままで
先達と交わす
無音