2022-02-23 旅情 かつて、かつて 路傍の憂い、 愛の飛ぶところ 旅をすべしや すまじや波瀾 急流に呑まれ白痴となって 陽射しの陰で眠るころ えい音の下 狩衣を濡らすチイと風 松の葉の先に雫がひとつ 恋を忘れて青空へ 蜜柑の香りがのぼり立つ ひらけた山道 あの風景が何枚も貼りついて 終わりのないツヅラオリ がらんどう つめたい胸に つめたいランプが火をともす 小さい線に離れ出て 壁にぶつかる火花たち 血は流れている 岩のような寒さの中で 氷と雪に 温もりのために