酔う(あるいは麝香)

人がゆえ酔う

生きるから酔う

酔いに涙して

酔いに強くなる

 

いつか覚める酔いなら良いが

覚めぬまま腐る酔いもある

 

あなたが歩くその道は美しいか

酔いながら歩くその道は輝いているか

そんな質問にあなたは言う

「酔ってなんかいないわよ」

 

腐った酔いを身にまとい

あなたは言う

「この香り!」

あなたはそのまま倒れ込む

「わたしは酔った!」

「酔っている!」

そして笑うのだが

違う あなたは狂ってしまったのだ

 

人がゆえ酔う

それはいい

狂えば獣だ

覚めぬまま腐る酔いの中であなたは

いつの間にか獣の香りを身につけていく

それを麝香という