2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

蝉の音

夏 ケン一が呼びに来た 河原を歩くと 犬がいて 可愛いですねと飼い主に言って じゃれあっているすきに 後ろから抱いて首を掴み 包丁でのどを切った 太陽が照っていて きっとすぐ腐るから そういう匂いになる 僕は笑った ケン一は何も言わなかった でもこれだ…

海を忘れたい

こんな詩のかきかたはきらいだった かんがえていることを かんがえていなかったかたちで だれにもわからないように ねじきってだすこと そんな詩にかちがあるとはおもわなかった 心象風景をえがくのがきにくわなかった そうしてみんながさっぱりしている う…

コロナ

五六億と七千万年待ってます デイリーの明かりが消えるまで 貴方が両手をこうさせて すいっと 来るまで 殺伐とした部屋です 何もありません 男が一人寝ています 男が一人待っています 窓から見えるデイリーの明かりが 消えてくれるのをただ願う 部屋が華やい…

サビローン一度

磨いた苦々しさの欠片が日々 よんどころない日傘さして宙を舞う 一等地まではほど遠いイスタンブールの借家 紛らわしい黄泉の国への入り口で右往左往する 十把一絡げのみずみずしい魚たちを追いかけ回す そのような日常さえもはや幻想の湖上に浮かぶ一握の砂…