夢の扉

終わらない美

触れても触れても溢れ出て来る

ような気がしてる

冷たい肌少しずつぬるまって

また冷えてやがて

 

大いなる予感

溶け合うような離れるような

夢の世界に落ちてゆく

 

世界は閉じる

0ミリまで極限へ

本当はわしらの匙加減

でも確かにみんながそう思う

 

年が明ける

瞬き一つ

隣に誰もいなくなる

 

黒く染まる草原

月の照らす兎の眼

風を最初に筆で描いたのは

こんな日だったに違いない

 

君の瞳と僕の瞳に

窓の光が宿る時

二つの家は靡きあう

心の扉が同時に開く

絵にした間合い

さよならボーイ

集中包囲

喜びと啓示

ゆらりアーカイブ

 

歩きつける配牌

酔いがちの春

この年末に

 

さよならボーイ

感覚の麻痺

品川駅から新幹線で

 

飽きないよ一生

階段は続く

腹這いで合宿

ナッツバッグにリスがまつわる

 

通、この町

新しい

光より明るい美

許すより大きく

 

育つなり

さよならのボーイ

永遠を抜け出して

順調の花と

鳥のさえずり

 

 

 

書店

薄暗く湿気た

汚らしい書店よ

意味のくせ偉そうに

高く澄まして幸福そうに

小売風情が

時に不幸気取り

都合で読み換える

他人の生首を整然と並べ

品評づらして楽しいか?

 

僕らの肩にかかっています

あなたの金にかかっていますと

「文化」人質にペテン師が

死化粧ばかり上手くなってよ

生きた奴隷を鬻いでみろよ

ぶっきらぼうに突っ立って

わたしが美と智の門番ですと

顎ぶら下げて

それは飾りか?

 

僕はあんたらが本当に嫌いだ

珈琲や酒に書籍を漬けた

でっかい甕をテーブルに置いて

この館の主人です!なぞ

両手広げて

恥ずかしくないか?

 

煤けた香りや

埃の色も

シーシャみたいに吸い込んで

うっとりしてる髪の女

ひげの男

 

にっこり笑え

外周走って来い

レジスター前でメガネして

無愛想に本を渡すな

ありがとうとか無理して言うな

お前の店でもなんでもないんだ!

 

 

深夜のみ

口頭で言う

デスマジック怯え

ゆーとりまんでら問診途中

ええがやな

最近鳥には言っとるけれど

仮にもポイズン気取ってきまして

損切りなくても哀願よゆー

マリちゃん待って

しがらみの船に

小一時間の待ってる待って

もうすぐ消える

すっと新しく大好きな君が

ふわっと生まれて愛してて

小さくなって

落ち着いた時に

死のうかなと

呟く

終わる

さようなら

 

渦巻き

ううん雲の舞う

美と美の儀式

遠く遠く指をのばして

量子反転

くるりと笑って

 

僕が上むけば

君は下をむく

僕が右見れば

君は左を見るように

 

髪の流れ

見えない香り

口の中の飴

癒えない音に

手のひらで耳を転がすと

 

首が大空をネメ回す

世が渦巻いて決着がつく

舌先から立ちのぼる湯気

消えないように煙を混ぜる

 

歩き続ける 前を見て 手だけこちらに

涙は走って去ってゆく

トントンバウンドしながらね

ああさようなら雲の行方は

来し方行く末 聖なる僕ら

自然を愛する不届き者は

概念の限界

人間で風穴を開けろ

正しさの不信感

手のひらで拭い去り

 

嫌われた人に会いにゆく

傷ついた心をもって

泣きそうで痛ましく

恥ずかしいまま胸張って

 

あんたはあんたの好みを棒にして持って

貫いた抜け殻を憎しみにして

また強くなるんだな

優しさを捨ててな

 

僕の偽善とあなたの独善

どっちもどっちで結局のとこ

悲しみあってるだけなんだから

せいぜい仲良くしませんか

 

愛するものと信じるものの

その外側に自然があると

自然を愛する不届き者は

案外気づかぬものなのです

流れるだけ

花は届く

飛びもせず

記憶されたところへ

 

指先はいっさい触れなくとも

火打ち石のような

頬と頬

時計の音のように

 

木登りをしましょうと

呼びかける

 

汗をふくタオルを持っていきましょう

 

虫の音を聞き分ける

練習をしよう

目を閉じて

 

君の声

いまはどこか山の奥

海の中

 

遠く届かない知らないところで

 

もう一回もう一回

さみしいのだろうから

もう一回

あの一瞬を思い描いて

小さなオレンジの火花を浮かべて

 

胸のあいだに焼きつけて

鼻の奥がなんだか熱いような気持ちになってみて

したくちびるがしびれるような感じがするだろう

 

涙はなんの証拠にもならない

 

もう少し生きて

一緒にいるために

ワインの血割り

不安ピーク

ドーザーで越え

悟りに澄ます

これを保つため

酔い続け

酒 クスリ 虚栄

肌に大人が結露する

アーマー並みに固着する

 

心の内に仏を眺め

手のひらを胸の前に合わす

光り輝くまで

待つ 待つ 待つ

待って 待って 待って

そのまま氷漬け

浮いて飛ぶ

抉り出された瞳とともに

 

美と愛のグラス

割れて砕けてとけあって

血も涙も見分けつかぬ

干からびて固くなってゆくまで

痛みに神経集中さしてる

 

1000年前なら歩いていける

誰かが歩いてきた道だから

1000年前ならいつまでも待つ

確かにあったことだから

 

神レベル 組み合わせ

草木 亀の首 海

 

燃えて消え

煙がまっすぐ水平線へ

越えてゆく絶対

そのために泳ぎ鍛えとく

何メートルだか

瞬間速度が合致したなら

うなずいて誰か魔法する

きっと認めてくれるはず

 

味気ない鮭食って

覇気のない鯖食って

匂いのしないニシンを食って

コーラ飲んでる人の隣で

さみしさとやさしさ

歩くだけでこぼれるので拾い回る可哀想な奴

拾い回って歩いてはまたこぼれている

そのさみしさを見て何も言えなくなる優しい人たち

さみしさとやさしさが下手すぎる

 

いたたまれなくなって僕

カロリーメイト吸いに出る

可哀想な奴 可哀想な奴

 

誰でもいいから話したいんだ

さみしすぎる奴ら

足りない人たちは結局のところ足りないんで

どこへ行ってもいじめられるから

優しさを搾取するしかないんだろうな

少年時代

忘れないです 見送った 五月の夏の終わりです

白墨の指に残った違和感と

咳き込む乗客にぼくは困ります

 

なぜなのでしょう

過ぎゆくものです

 

縦長の積み木を二つ

その上に三角を一つ

おうちの中にぼくはおります

その中にうずくまっています

 

いついかなる時もあたたかく

いついかなる時も優しかった

 

あなたと過ごした永遠はいつまでもここにありますが

あなたのもとにはもうないのかもしれません

それを確かめられないことだけが悲しみなのでしょう

幸福と平穏は いついかなる時も ここにあります

 

神は恵みをくださいます

遠く太陽の光のように

教えてくれて 育ちます

 

感謝するほどに愛はふくらみ

愛するほどに満ち足りてきました

おかげでぼくは元気です

 

自分の足でたくさんの

長い道に立ち 歩き続けます

旅情

かつて、かつて

路傍の憂い、

愛の飛ぶところ

 

旅をすべしや

すまじや波瀾

急流に呑まれ白痴となって

陽射しの陰で眠るころ

 

えい音の下

狩衣を濡らすチイと風

松の葉の先に雫がひとつ

 

恋を忘れて青空へ

蜜柑の香りがのぼり立つ

ひらけた山道

あの風景が何枚も貼りついて

終わりのないツヅラオリ

 

がらんどう

つめたい胸に

つめたいランプが火をともす

小さい線に離れ出て

壁にぶつかる火花たち

 

血は流れている

岩のような寒さの中で

氷と雪に

温もりのために

半身

この子は僕の半分で

君が痛けりゃ僕も痛い

だがそうでこそ遊ばせて

痛みを知らなきゃまたいけない

ともに歩んでいくがゆえ

いちにいちにで別々に

寝るときはひとつ

ああこれから僕もそこへゆこう

君の待つ

明日はどちらが先に起きても

いちにいちにで

たまにぴょん

なんでもしあわせ

ちょっとしてるよ

ちょっとだけだよ

それもわかるよ

だからごめんね

 

だけど

すごく楽しくなかよしで

いつまでもこう

未完成のままでいいかもしんない

お部屋は片付けるけどね

 

明日のことは明日かんがえる

明日のことを今日かんがえる

どちらもたのしい

さようならきのうのぼく

こんにちはいつものぼく

ありがとうゆかいなきみたち

みんなでぽんぽこ

とびまわってる

 

しあわせなぼくたち

ひとりのきみ

たくさんのぼく

たくさんのきみ

ひとりのぼく

あわせてみんな

なんでもしあわせ

 

たのしいね

不気味な親子

不気味な親子

安いコーヒー

 

スマホでゲームしながらタバコ吸う

ちりちり髪でアンバランスな洒落た服

たった一人で空気を汚す

若い男が中央の席に座っている

 

一つもいいところがない

強いて言うなら安いだけ

近所のじいさんたちがずっと話している

サラリーマンが暇を潰している

本当に暇そうなのだ

 

不気味な親子はいったい

何の目的でここを経営してるのか

娘や息子を

受け入れてくれるような社会が

ないということか

 

180円のコーヒーをすする

うまくもないエスプレッソマシン

無論まずくもない

ラジオの音がデカすぎる

AMラジオ

アンテナはって

 

汚い空気と壁と色合い

暇そうなサラリーマンが

電子タバコをやりだした

 

いったいなんだって僕はここにいる

なぜ生きている

 

昔々なら山奥で

包丁研いでる不気味な親子

都会に逃げ込んだファンタジー

誰の居場所もここにはない

 

誰の居場所でもないここで

悲しくもないのに

悲しい気がして

泣いていた

さよなら

みんなを

思い出してた

 

いいところなど一つもない

強いて言うなら安いだけ

気に入った

誰でもない時また来よう