めまいの壁に

大きなこと

僕のこと

わからないもの

だれかの部屋の壁に貼られているもの

 

未知のこと

開かれる桃色の扉

その向こう

 

褐色の扉

その向こうに

 

四角く囲まれた空間

そびえるものたち

空気と時間

毎日の服を

纏い続けてきたその証拠

 

匂いや

舌に来る味

二の腕にともる湿気まで

初めて知った

ここが君のこと

 

時をこえて来た

蟻のように歩き

落ちそうな点線をつたって

やがてを頼りに

 

するりと踊る

わかりきったような舞い

笑い

救急車の音 響く

 

めまいの外側に無限に広がっているらしい

部屋や空

めまいの内側に

君を呼び寄せたいものだ

 

僕のこと

この世界

わからないもの

だれかの部屋の

壁に貼られているものを

両手 両足で押し広げたい