それで優しさの意味を知る

月のことしか考えていない

星の色しか思い描けない

太陽を浴びて

風を受け止めて

真昼の丘で眠りましょう

花は光と雨に溶け

粒となり空を彩って

鳥の翼や虫の羽ばたきに

捕らえられて落ち

土に染みこみ消えていく

上を向き

靴をのめらし

川の匂いに包まれて

月のことしか考えない

星の色しか目に入らない

欲望の果て

あきらめのうち

爪の隙間へ入りこむ

濁った赤土のように

空と空との間には

いかずちのような亀裂が見える

月のことしか考えたくない

星の色だけ描き続けたい

冷たい風がやってくる

背中のほうから追いあげてくる

よろめいて足を前に出す

涙がふらっと砂利に降り

夕立のはじめを思わせた

雪の季節がやってくる

秋をすっかり追い出してしまう

涙が凍って結晶するなら

このままなくさず取っておく

もしもそのまま何もないなら

あの約束も反故にしてやる

何が溶かす

何が吹き飛ばす

目を閉じて待つ

月の光で育つ花なら

僕の涙で開く花なら

いくらでもここで泣いてあげるよ

太陽が裏で笑っているなら

こっそりつくった星の色

虹より綺麗に染めてみようね

真昼の丘で見てた夢より

夜に包まれてなくした記憶を

大切にそっと胸に抱き

一生をかけて解読していく

それで優しさの意味を知る