はるか

ソファに座ると

沈みこむ

その足腰を

美しいと思うので

僕は見ている

ただし君は煙草をすいながら

君にとってとても正しいことを

まっすぐに吐いて

悠かにしている

悠か 悠か

今すぐに会いたい

横顔で笑っている僕を

あわれむように

君は茹でた野菜に味をつけ

僕にくれる

あたたかく少し塩からい

何もつたえぬ

昏い眼で

黙々と

悠かにしている

悠か 悠か

時計が気になる

スローモーションで

読み上げる

背表紙の文字

二人で過ごしたわずかなこの部屋

実体は何だ

穏やかな始末だ

もう君の店には行かない

もう僕の物にはならない

マッチする束の間

煙立つキッチン

座りこむ

何から話そうか僕は悩んで

結局愛だけは後回し

淋しそうな君の目に

腹ばかり立てていた

静かに ただ静かに

悠かなる隔たり

悠か 悠か

今すぐに会いたい