さ聞新

 明けて今日がそれか。覚めたなら夢。眠り続ければ現。世迷い言とは僕らの言葉だ。あやふやにそのあたり漂っている。時間がないのに、おかしいな。

 より深いぼんやりを求めて、悪口ばかりを考える。そして戦う。今さらの告白にたじろいだり、その気持ちにつけ込んで踊らせたりする、そういう映画を背中に浴びて、一つ一つ丁寧に人を傷つけていく。ざっくりと、乾いた傷口を、永遠に。

 指でより分けるとすぐ分かる。この人は意地悪だ。この人は戦争の絵を描いたことがある。この人の鼻歌は手が込んでいる。夕方近くに発光を始める、新手の蛍。裸のまま漫画読んでお茶すする美しい人。

 夢のまま、夢のままと願っても、忍びこんでくる現実感に、儚さを思います。遅延している。哀願している。信頼している。夏の香り

 いつになれば僕は安心して浴衣を着られる。