ゆうれいと包丁

ゆうれいのように冷たいではないか

部屋の中で月光が踊り

揺れ震えて心淋しいからな

よっぽど君の名を呼ぼうかと思ったが

隣の部屋からぬうっと起き出てきて

何を言うんだかわかったもんじゃないからな

こっそりと泣いたんだ

今夜も包丁の音が台所に響いている