春の天才たち

君はこれから知っていくだけだ

僕は忘れてしまうだけ

思い出させてよ

新しいことを

未来がどうにも気になるね

純真な君は夢見がち

のばした指をかぷりと噛んで

顔を真っ赤に染めあげた

捕まえられない

だから追いかける

春の蝶のよう

あるいは落葉

言葉じりを信じるな

伝聞はいつでも詩のようだ

意味を殺して

真っ暗闇から本当を拾え

数字どうしで戦うんじゃない

色や匂いや手ざわりや

土や草を踏みしめて

太陽に目を細め

隣で体温が

散歩の僕を待っている

君は天才をロッカーに預けて

日なたぼっこに出てきてる

僕も天才を自転車のカゴへ

置いてきてゆらりと春を感じてる