その本人 酒と詩

夢に揺られて
昔を思い出す

意味なんかないが
その人を示す
文体や語彙
それだけ

容姿もそうだ
僕の思想だ

彼とはいつも車に乗って
神社やなんか行って
夜空と酒をのんだ

それから僕は考えたのだった
言葉について
意味について
空洞の中身について

今では離れ離れで
愛情だけがあって
時おりは同じ車に乗り込んでいる

仕事をしている
たまには遅くなっている
空虚であることを僕らは知っている
だからこれでいい

回転数も
情報量も
どうだっていいことで
ただ
文体と語彙
それから容姿
いつまでもそれが
僕らの思想で
たぶんいまごろ甘い声をのどにためて
空を見上げている