さおだけクライシス

 おこづかいを握りしめて子どもたちが

 さおだけ屋のトラックを追いかけている

 子どもたちはようやく手にした最新型のさおだけを握りしめて

 殴りあったり、犬を殺したり、古い家屋を破壊したりしている

 「おうい、休憩だ」

 声がかかると、子どもたちは座り込み、ポケットからプリンをつかみ取る

 食っては吐き、食っては破棄

 女性の姿を見つけるとさおだけで軽く後頭部を叩き、倒し

 ちんちんを顔の前でぷらぷらさせてキャッキャと騒ぐ

 「まだ休憩中だ!」

 「すみません、工場長」

 「しまえ、ちんちん」

 そそくさとちんちんをしまう

 ばつが悪そうにうつむいて、嵐が過ぎるのを待つ

 やがて作業が再開された

 殴りあい、犬を殺し、古い家屋を破壊する

 大人たちは家の中で震えている

 どうしてこんなふうになってしまったのか

 どこで間違ってしまったのか

 工場長とは誰なのか……

 ある日とつぜん、子どもたちはプリンしか口にしなくなった

 栄養失調で死んでしまうまでの間、

 子どもたちはさおだけ代をせびり、暴力と破壊の限りを尽くす

 母親は父親に欲情し

 父親は母親に欲情する

 狂った世界だ