記念の光

月光は雨雲を照らして

空の世界は真昼のようかもしれない

幽体離脱した僕らはそこで

ものの魂を投げ合って交歓する

見えないがあの雲の

その粒の一つ一つには

月の光が埋まっているはず

指先で弾いて

解き放ちたくてずっと見つめている

女の子の肩が登場すればそれはいつも震えている

夏の終わりに怯えながら

新しい世界に戸惑いながら

夢をカバンにぶち込んで

ファスナーかたく締めて

丸まって泣いている

これ以上大きくならないで

夕焼けの季節

夕焼けのない季節

神が何かを言っている

雲の上遊ぶ僕らのように

解き放たれた光のように

ただただ自由に

ひたむきに無邪気に

今夜限りの祝福を

聞こえない声で囁いているらしい