間隙

普通な僕らは不思議な力を

排気ガスのように吸い込んで

手をとりあって歩いた道路の

深夜の姿がわからない

真空状態の風船の中で

時おりの針も跳ね飛ばし

上も下もなく踊りを舞って

飛び散る汗が壁の中に消えた

グラス傾けて光った角度の

目立たぬ視線を見ないまま

意味もなくちゅうする

幸せなちゅうする

絡まった指の無言の約束

未来と未来が心中を果たし

信じるも信じないも消えうせて

湿った舞台を染めていた怨霊

普通な僕らはうっかりと

ひとつだけ忘れるように

右足と左手を遊ばせる

何だってできるのに見ないふりをした