世迷い言

地団駄踏んでかみ締めた

歯と歯の間からうまれ出てくる

粉末状になったエナメル質にまぎれて

目には見えないが飛び散っているのは

生き霊の類

血走った眼に

流れる涙のすき間から

水と油のごとく混じり合わない

ひと筋の透きとおった

本当は不可視的な幽魂

穴という穴から

かたちのないドロドロの

においのない不快な

あじのしない苦々しい

いみを持たぬ忌まわしいものが

爛れのように噴出してくる

膿のように醜い

嘔吐を誘うような

生き霊の類

本当は不可視的な幽魂

こころと脳味噌が繋がった部屋の

へどろのようなダムの底で

吐瀉物にまみれ

何もはき出せないで

おしのようにただ黙り込んでいる