技術的なカメオが
僕に巣喰って
勝手気ままたる偽りの歌が
よだれの如くに流れ出ましてね
技術的なカメオは
虚構の淵より生まれいづる像
何かの象徴を盗んで
目の前の白い壁に貼り付けただけで
技術的なカメオの
技術的な面は
技術的な面などこれっぽっちもなく
技術的な評価は何的にも受けない
技術的なカメオと僕の青春は表裏一体のものだと思った
技術的なカメオは僕の中の何かを映し出してくれるのだと信じていた
技術的なカメオがこの退屈で荒んだ意味のない生活に
何らかの切れ込みを入れてくれるはずだったのに
技術的なカメオは
とうとう僕を裏切りはしなかった
だけど僕は
技術的なカメオの何一つさえ信じようとはしなかった
だから技術的なカメオは僕の前から姿を消したのかも知れない
だけどいつか戻ってくるだろうと思う
技術的なカメオは
僕のどこかの見えない場所に
ただ潜んでいるに過ぎない
技術的なカメオは
僕の青春と表裏一体のものなんだ
と思うから