走ってる
息を切らして
あなたのもとへ
走ってる
息を切らした
あなたのもとへ
山を越え
谷を越え
淡々と背中を撫でていく風のような
昨日を越えて
メロスの絶望したような
川を越えて
走っていく
息を切らしながら
あなたのところへ
「すいません、息ください」
「あいにくだけど、今ちょっと息切らしてるんだよね」
「そうですか…」
次の店に走る
次の商店街へ
次の
隣町へ
「すみません、息ください」
「はぁ~」
「ありがとうございました!」
少女は幸せという名の小鳥と吐息を抱きしめて
朝日と一緒に昇っていった
合掌
さよなら