浣腸をすると産まれいづる紳士、その苦悩とひび割れ

出してくれ

出してくれ

俺を

お前の糞として

お上品なのは沢山だ

出してくれ

出してくれ

異臭を漂わせ

お前の尻から

爆発するように

四方へと飛び散り

バラバラになった

糞として

糞として

俺の存在を汚らわしいものとして

肯定してくれないか

出してくれ

出してくれ

俺を

お前の糞として

シャネルの五番は沢山だ

前世がモンローだとしても

俺の心は汚れがなくて

清く正しい英国紳士で

非の打ち所のない

男なんだが

出してくれ

出してくれ

俺を

お前の糞として

新幹線のような

素晴らしい形はしていなくていい

不定形で

どろどろの

下痢のような俺でも構わない

とにかく俺から

この上質なフロック・コートを脱がしてくれないか

背広は要らない

ネクタイは窮屈だ

俺は確かに紳士だが

糞だってするんだ

出せと言われれば

幾らでも出るさ

お前らは俺に

幻想を抱き

トイレのドアを開けてもくれない

俺はこんなに震えているのに

俺はこんなに我慢してるのに

わかってくれないじゃないか

俺だって

俺だって糞くらい

出してくれ

出してくれ

俺を

お前の糞として

糞をする俺は

糞になったって

変わらないんだ

俺は確かに紳士だが

匂いはお前と同じさ