消灯時間はとっくに過ぎても
隣室から甘い旋律が運ばれてくる
あえぎ声
悶え転げる
女の子の声
泣いているらしかった
それはそれなりに妖艶だったが
悲しそうだった
自慰をしているらしいことはわかったが
それに到るまでの経緯を知らない
どうして彼女はこんな夜中に
泣きながら
自慰をしているのだろう
突然彼女はハムレットのせりふをしゃべりだした
存るべきか、存らざるべきか、それが問題だ。
そしてまた自慰を再会する
そこで僕は醒めた
彼女は
楽しんでいるのだ
陶酔しているのだ
泣きながら指を濡らす
自らの姿に
僕はすぐに隣室へ赴き彼女を犯した
こっちのほうがたぶん
本当の悲劇に浸れるんだろう